アソシエイツ・コラム

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第2回.小児歯科治療の重要性

小児歯科医:林 志穂

歯医者さんに慣れるまでのステップアップは 今後の人生の中でも、非常に重要なことです。

Q:大人の治療と小児の歯科治療の違いなど、一般的な認識は低い様です。
先生が考える小児歯科治療をお聞かせ頂けますか。

林 志穂:まず、乳歯は永久歯と構造自体も異なります。それに伴って使用する薬剤や材料なども違ってきます。
また成長過程であるため、歯の生え変わりから咬み合わせ、お口の機能などをトータルに、お子さんの健やかなお口の成長を長い目で管理して行く事が重要だと考えます。
何よりも対応法といいますか、やっぱり小さなお子さんは初めて歯医者を経験する訳なので怖い・不安が凄く大きいです。
なので、歯医者さんを怖がらない対応法が非常に重要ですね。

まずはトレーニングを行う事。出来る事を少しずつ増やし、ステップアップして行く方法をとります。 歯医者さんの道具を触ってみたりとか、興味を持ってもらう事から始めます。 幼いお子様は色々な事に興味を持ちますので「これは掃除機みたいなモノだよ。」なんて説明します。
お母様にとっては通院回数が増える事もあり、大変かもしれませんが、歯医者さんに慣れるまでのステップアップは今後の人生の中でも非常に重要なことかなと考えます。

Q:やはり子供の頃の体験などは、お子さんの成長の上で非常に重要ですね。例えば歯医者に対してトラウマを持ってしまったら、それは健康上大きく影響するのではと思います。

林 志穂:まさにその通りです。
幼少期の心身共に成長著しい段階での恐怖感・不安などは、尾を引く程の大きな事になる可能性があります。中には他の歯医者さんで、過去に痛い思いをした経験がある子などもいますが、まずは歯医者さんを知ること、興味を持ってもらうこと、可能な限りでいいので少しずつトライしていく事が非常に重要ですね。

近年はお母様方の歯科予防知識も高く、子供のうちからの歯科予防に多くの関心があります。 重要なのは、悪くなった時の治療として歯医者さんに向かうのではなく、 予防の一環として歯医者さんに足を運び、まずは慣れて頂いて、その上で治療があると考えて頂けると有り難いですね。

Q:小児治療は成人治療以上に信頼関係が重要ですね。

林 志穂:やはり言葉ではなく、子供は感覚から安心や安全であることを感じますので、お子さんが考えている事を少しでも多く理解する事が大事ですね。
中には我慢強い子などもいて「痛くない!」って我慢する子もいますし、逆に気の小さなお子さんなどは恐怖心のあまり、痛いって言えない子もいたり様々です。
私達は一人一人を観察し、理解してお話していく事を何よりも心がけていますね。
「我慢できるからお利口」ではなく、その子にとって、どのような対話と治療法が最善なのかを深く考えます。

幼少期の成長は本当に早いので、定期的な検診と その時の状態・状況をしっかり見極める事が重要です。

Q:それではホームページから頂きました問い合わせの中から、幾つか先生に質問をさせてください。
まず「子供の歯がスキッ歯で心配です。矯正などしないと治りませんか? 」という質問を複数頂いております。

林 志穂:これはよく誤解されているのですが、子供の歯(乳歯時期)は隙間があった方が正しいです。
後に永久歯が生え揃う時に、隙間は埋まりますので大丈夫です。

Q:すきっ歯と合わせて、噛み合わせが反対で、どの時期から治療を行えばいいのかという問い合わせもございます。

林 志穂:出っ歯ではなく受け口(反対咬合 )などが見受けられる場合は、早い段階での検診をおすすめします。
3歳時検診で判る事が多いかと思いますが、その後も定期的に歯科医院での検診して頂くことをおすすめします。時期として7歳ぐらいまでは定期的に検診を受けた方が良いですね。

また3歳児検診時には反対咬合でも4歳くらいで治るお子さんや、4歳で治らなくても6歳くらいで永久歯の前歯が出てくる時に治るお子さんがいるなど、本当に一人一人異なります。
ちなみに7歳というのは永久歯も揃い、丁度矯正治療を開始するのに適した時期であります。

Q:定期的に見て頂く事がより重要ですね。

林 志穂:そうですね、特に幼少期の成長は本当に早いので、定期的な検診とその時の状態・状況をしっかり見極める事が重要です。
繰り返しになりますが、お子さんの成長や生活習慣でも違いが生じる事ですので、
「お友達が治療を始めたから、うちも始めないと!」ではなく、軽症の反対咬合(自然治癒も期待できる)なのか、重症なのか、医師の判断が非常に重要です。
現代社会では、インターネットなどを使って情報を得る事が非常に容易になりましたが、それらの情報は正しいものばかりではありません。個人的な表現で書かれている情報などもあります。
咬み合わせが悪いかな?(不正咬合)と思った時は、まずは歯医者さんに相談頂くのが一番です。

Q:日々の対策などあるのでしょうか。

林 志穂:不正咬合(受け口や出っ歯、すきっ歯など)は、遺伝による骨格の問題もありますが、生活習慣や癖が原因となることがあります。それらの生活習慣や癖を改善して行く事が大事です。
例えば生まれたばかりの赤ちゃんの場合、首がすわるまでの間に、どのように寝かせていたか、またどんな体勢で授乳をしていたかがポイントとなります。また、頬づえもよくありません。
授乳を卒業したお子さんも、柔らかい食事だけを食べさせるのではなく、歯ごたえのある食事も与えきちんと噛む習慣をつけさせるようにしましょう。片方だけの歯で噛まないようにすることも注意のポイントです。

インタビュー・撮影:グラフレンジ 小澤 誠

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